久しぶりに一人で初めての居酒屋に行ったので、ちょっとしたレビューを。
以前、クルマで通りがかったとき、その店の佇まいに惹かれるものがあった。
居酒屋ほおずき
南国市岡豊町常通寺島80ー4
場所はJR大津駅から徒歩約20分。
医大に近い古い住宅街に忽然と赤ちょうちんが灯る。
長い歴史を刻んできたと思われる建物を居酒屋に改装しているようだ。
扉を開けると左手に7人ほど座れるカウンターがあり、奥には座敷がひとつ。
全体的にこじんまりとした造りで、一見すれば小料理屋のような落ち着いた雰囲気。
その様子だけで「大ハズレではないな」と直感する。
私が訪れたときには客はいなく、女店主が一人で仕込みをしていた。聞けば、いつも彼女一人でやっているという。
やはり建物は築100年以上。トイレへとつながる廊下を進めば中庭があり、父親の趣味という盆栽が並ぶ。雰囲気は二重丸だ。
残念なことを挙げるとすれば、テレビが二台もあること。ウンコみたいなくだらないバラエティや、毒にも薬にもならない名ばかりのニュースを垂れ流すテレビは、時として店の雰囲気を台無しにする。
普段ならそこで顔をしかめるところだが、この日はなにせ初めての訪問で、しかも客は私一人。この場合、テレビは間を持たすのに多少役に立つ。
付け出しは小鉢ではなく、平皿に天ぷらとサラダを盛ったもの。
もはや一品料理と言っていい。
品書きを見れば刺身もあるようだが、この日は日曜日であるため、良い魚がないらしい。まずい刺身を出されるより、正直に答えるところが、またいい。
「牛すじ塩煮込み」なるものがあったので注文してみる。味噌や醤油の味付けではなく塩というのが珍しい。肉は軟らかく、味付けはあっさり。なかなかの美味である。
おすすめのお鍋を注文してみた。この日の鍋は、白菜と豚バラを鍋に敷きつめ、日本酒だけで煮込んだもの。シンプルなレシピだが、具材にお酒の旨味や甘みがやさしく染み込み、こちらも美味。
いつしかカウンターには熟女二人と、座敷にファミリー客が座り、店は盛況を呈してきた。
初めてのお店では、その店の流儀や符丁があることに戸惑いながら、その発見もまた楽しいもの。この店の場合、私が2本目のお銚子をお願いしようとした時、それを知った。
調理で手が空かない女店主が、こう言い放ったのだ。
「ヘルスサービスでお願い!」
いわゆるセルフサービスのことを、この店では「ヘルス」もしくは「ヘルスサービス」と言う。思わず風俗店を連想させるこの下品さ。築百年以上の古民家小料理屋風の雰囲気がぶち壊しである。とはいえ、ますます気に入った。
3000円程度でヘルスのサービスが受けられる店は、日本全国見渡しても恐らくここしかない。